オーディオ仲間から「Amazon Musicって、排他モードをONにすると結構音が良くなるよ」という話を聞いたのが、今回の検証を始めたきっかけでした。
「設定ひとつでそんなに違いが出るのかな?」と半信半疑のまま、自室のデスクトップ環境でさっそく試してみることにしたんです。ウン十万円もする高級機材ではなく、手頃な価格のDACやアンプを使ったシステムですが、自分なりの発見や感じた違いがありました。
Amazon Musicの排他モードは必要?まず私の結論
細かい話に入る前に、私なりの結論を先にお伝えすると、今はAmazon MusicをPCで聴くときは常に排他モードをONにしています。
だからといって「排他モードをONにすれば誰でも絶対に高音質になる」と言い切るつもりはありません。実はONに切り替えた際、音量自体が少し上がって感じられたため、その音量差が聞こえ方に影響している可能性も大いにあるからです。
それでも、音の立ち上がりや全体の迫力を含めて、私のデスクトップ環境では、排他モードをONにした方が明らかに好みでした。
Amazon Musicの「排他モード」とは?
排他モードというのは、ざっくり言うと「PC(OS)の音声処理をパスして、Amazon Musicの音をそのままUSB DACなどのオーディオ機器にストレートに送り込む設定」のことです。
普段PCで音楽を再生しているとき、OS内部のミキサーが動画の音声やメールの通知音など、さまざまな音を混ぜ合わせて出力しています。排他モードをONにすると、そのオーディオ機器をAmazon Musicが文字通り「独占(排他)」するため、余計な処理を挟まずに曲本来のデータを届けることができる仕組みになっています。
Amazon Musicで排他モードをONにする方法

設定方法はいたってシンプルです。Windows版のAmazon Musicアプリを例に説明します。
- アプリの再生画面下部にある「スピーカーアイコン(出力デバイスの選択)」をクリックします。
- 使用しているDACやオーディオ機器の名前にマウスを合わせると、その横に「排他モード」のチェックボックスが表示されます。
- そこにチェックを入れるだけで、すぐに排他モードへと切り替わります。
PC+DAC+AIYIMA A07 Pro+YAMAHA NS-BP401で聴き比べた


今回比較に使用したのは、私が普段デスクワーク中に使っているコンパクトなオーディオシステムです。
PCからAmazonで購入したオリジナルのUSBケーブルを使って、手頃な価格で手に入れたDAC「FX-AUDIO- FX00J-03」へ接続。そこから小型パワーアンプ「AIYIMA A07 Pro」を経由し、ヤマハのブックシェルフスピーカー「NS-BP401」を鳴らしています。いわゆるハイエンドとは無縁の手軽なデスクトップ構成ですが、普段使いとしてとても重宝している組み合わせです。
上原ひろみ「Seeker」で比較

試聴曲には、上原ひろみさんの「Seeker」を選びました。静かなイントロから始まり、中盤にかけて演奏の熱量がどんどん高まっていくダイナミックな楽曲なので、音の微妙なニュアンスの変化を確かめるのにぴったりだと思ったからです。
排他モードをONにすると、まず音量が上がった
排他モードをONにして曲を流した瞬間、真っ先に気づいたのは「音が大きくなった」ということです。
OSのミキサーを通さなくなった影響か、音の押し出しが強くなり、スピーカーが一歩手前に出てきたかのようなパワフルさを感じました。
盛り上がる部分でアタック感と音の密度感が増した
そのまま聴き進め、曲が中盤の盛り上がりに差し掛かったとき、音の違いがはっきりと伝わってきました。
「Seeker」が盛り上がるところでは、アタック感と音の密度感が一段上がったように感じました。ピアノの打鍵の強さやドラムのアタックがクッキリと浮き立ち、音全体がぎゅっと詰まったような手応えがあったんです。その結果として、演奏のリアリティーがぐっと増したように私には聞こえました。
OFFに戻すと、私には平凡な音に感じられた
ONでの響きを耳に馴染ませたあと、確認のために排他モードをOFFに戻して同じ箇所を聴き直してみました。
すると、さっきまでの活き活きとした躍動感がスッと引いてしまい、拍子抜けするほど「おとなしい音」に聞こえてしまったんです。OFFが悪い音というわけではないのですが、一度あのエネルギッシュな響きを聴いてしまうと、私には平凡な音に感じられたのが素直な印象でした。
ただし「排他モード=高音質」と言い切れない理由

ここでひとつ冷静になっておきたいのは、この違いのすべてが「純粋な音質向上によるものなのか」という点です。
ただし、排他モードONでは音量も上がって感じられたため、すべてを純粋な音質差だとは言い切れません。
オーディオの世界では、単に音量が少し大きくなっただけでも「音質が良くなった」「迫力が出た」と錯覚してしまうことがよくあります。今回の聴き比べも、測定器を使ったレベル合わせやブラインドテストを行ったわけではなく、あくまで普段の試聴位置で聴いた感覚に過ぎません。アタック感や密度感の向上も、音量アップによる印象が混ざっている可能性は十分に考えられます。
それでも、自分がデスクに向かって音楽を聴く場面において、どちらが聴いていて楽しいかと言われれば、間違いなくONの方でした。厳密な高音質証明にはならなくても、「自分が好きと思える音かどうか」が私にとっては一番大切です。
Qobuzとの音質差より、排他モードON/OFFの方が大きく感じた
以前、当サイトで高音質配信サービスとして知られるQobuzとAmazon Musicを同じクラシック音源で聴き比べたことがありました。
▶ Amazon Music Unlimitedでクラシックを聴く|私がQobuzから戻ってきた理由
その時は、私のシステムだと両者の違いは「ごく微々たるものだな」という印象でした。
しかし今回の体験では、Amazon MusicとQobuzの違いより、私には排他モードON/OFFの方が大きな変化に感じられました。
サービスごとの仕様の違いを気にするよりも、アプリの設定をひとつ見直す方が、手軽に音の変化を楽しめる場合があるのだと実感した瞬間です。
排他モードのデメリット・注意点
実際に使っていて感じる排他モードの注意点も、いくつか触れておきます。
一番のデメリットは、Amazon Musicがオーディオ機器を独占してしまうため、音楽を再生している間はPCの他の音が出なくなることです。YouTubeの動画を見たり、他のアプリの通知音を聞いたりしたい時には、一度音楽の再生を止めるか設定を変更する必要があります。
また、お使いのPC環境やOSのバージョン、接続しているDACのドライバーによっては、排他モードの設定項目が出なかったり、動作が不安定になったりする場合もあります。
PC+DACでAmazon Musicを聴くなら、一度ON/OFFを試してほしい
排他モードONで感じた変化には、音量差による影響が含まれているかもしれません。ですが、手頃なDACと小型アンプ、ブックシェルフスピーカーという私の環境でも、上原ひろみさんの「Seeker」がより活き活きと聴こえたのは紛れもない体験でした。
高価な機材へ買い替えなくても、いま手元にあるシステムのままで音の変化を味わえる。私自身、今の「FX00J-03 + AIYIMA A07 Pro + YAMAHA NS-BP401」という構成の音にはとても満足していますし、デスクトップオーディオならこの音で十分楽しめると感じています。
Amazon Music Unlimitedを使っているなら、まず自分の環境で試してみてほしい

私の場合、今回のためにDACやアンプを買い替えたわけではありません。いつも使っているデスクトップオーディオで、Amazon Musicの設定をひとつ変えただけです。 それでも「Seeker」を聴いたときの印象は変わりました。
もちろん、同じように感じるかどうかは、使っているPCやDAC、アンプ、スピーカーによって違うと思います。音量差の影響もありますし、「排他モードにすれば必ず高音質になる」とは言えません。
だからこそ、Amazon Music Unlimitedを使うなら、まずは自分のシステムでONとOFFを聴き比べてみてください。追加で機材を買わなくても試せる設定ですし、いつも聴いている好きな曲で比べてみるのが一番分かりやすいと思います。
私自身はONの音が気に入ったので、今ではPCでAmazon Musicを聴くときは常に排他モードをONにしています。

